茜のいなくなった腕の中は。

一気に温度が下がった。





…なんなんだよ…一体…。





あの状況で来客相手にする茜も茜だけど。

こんな時間に誰だっつーの!!

明日にしろ!!明日!!





持って行き場のない怒りを。

手元にあったクッションを掴んで。

…八つ当たり。



俺だって健全な男なんデスよ〜。

こうも“お預け”くらうとイジけたくもなるし…。





その時。





「…帰って下さい!!」





茜の大きな声が部屋に響いた。





『…どした?』

「な、なんでもない!!」





いや、どー見ても。

なんでもないようには見えないんですケド…。





気になった俺は。

茜の方に歩いて行った。



茜はインターホン越しに相手と話をしていて。

近づいてくる俺には気付いてナイ。





…俺のジャマをしたのはお前かぁ…。





セールスとかならマジでキレるよ?





興味半分で茜の後ろからモニターを覗いた。