「“あの”郁をその気にさせた女ってどんなんか気になるじゃん」
“あの郁”って言うケド。
あの郁もどの郁も俺だっつーの。
しかも。
俺、“彼女の存在”自体肯定してねぇし。
「先輩?後輩?タメ?」
アツシがニヤニヤしながら言う。
でも。
“彼女”がココにいて真っ向から否定もできず。
「クッ…ププッ…」
…全てを知ってる涼真は。
肩を震わせて笑いを堪えていた。
『…年上。社会人だよ』
当たり障りのナイ俺の彼女の情報。
…まぁ、ウソはついてナイ。
「マジで?!オトナの女じゃん!!」
なぜか興奮気味のアツシ。
……“オトナの女”、ねぇ……。
チラリ。
視界の隅に入った、アツシに“オトナの女”と呼ばれたヤツは。
…俯いてる。
そして涼真は……。
「……ぶッ!!」
…………吹き出した。

