鳴り止まないケータイ。
ディスプレイに浮かんだ“茜”の名前。
もう一度ケータイを握りしめた後。
俺は、通話ボタンを押した。
『…はい』
「あ、涼チャ〜ン?茜だよ〜」
電話の向こうには。
明らかに酔ってるのがわかる“茜”がいる。
『っと…今涼真いなくて…』
「駅近くのバーにいるから迎えに来てね♪」
『あ、ちょっ…!!』
後に残ったのは無機質な“ツーツーツー”という音だけ。
“茜”は。
自分の言いたいコトだけ言うと。
電話を切ってしまった。
…どうするよ…。
電話出ちゃったし、しかも切られちゃったし。
相手は涼真が出たもんだと思ってる。
どうする、俺?!
でも。
考えても仕方ない。
電話に出ちゃったんだし、迎えに来いって言われたんだし。
…俺が行っちゃえばいいか。

