半熟cherryⅡ


『…センセー迎えに来たし、教室行くわ』



ワイシャツの袖をめくり直しながら立ち上がる。



逃げるわけじゃない。

逃げるわけじゃないケド。



…昔の話、ですから…。



しかも。

アツシとケンチャンは知らないとはいえ。

彼女のいる目の前でして欲しい話ではナイ。



「俺も行こ〜っと」

涼真も伸びをしながら立ち上がった。



「あ、なんだよ。
ここからだろ〜?いいトコロは♪」

アツシがニヤニヤしながら椅子をキコキコと揺らす。



「俺、その話知ってっし〜」

『俺が自分の話聞いたっておもしろくねぇもん』



入り口で仁王立ちをしてる茜を横目に保健室を出ようとした。



その時。

“パンッ”とイイ音が響いた。