『…センセー迎えに来たし、教室行くわ』
ワイシャツの袖をめくり直しながら立ち上がる。
逃げるわけじゃない。
逃げるわけじゃないケド。
…昔の話、ですから…。
しかも。
アツシとケンチャンは知らないとはいえ。
彼女のいる目の前でして欲しい話ではナイ。
「俺も行こ〜っと」
涼真も伸びをしながら立ち上がった。
「あ、なんだよ。
ここからだろ〜?いいトコロは♪」
アツシがニヤニヤしながら椅子をキコキコと揺らす。
「俺、その話知ってっし〜」
『俺が自分の話聞いたっておもしろくねぇもん』
入り口で仁王立ちをしてる茜を横目に保健室を出ようとした。
その時。
“パンッ”とイイ音が響いた。

