「…聞いてもいい、かな…?」
『…なに?改まって』
茜はグラスを両手で握り。
その両手に包んだグラスに視線を落とした。
「…あの日、のコトなんだけど…」
なにがそんなに言いにくいんだ?
と、思ってしまうくらい聞き取る方も大変な程の小さな声。
『あの日?』
テーブルに置いてくれたグラスに手を伸ばしながら返事をした。
茜はまだモジモジしたままだ。
「…ホテルにいた日…」
『…その日がどうかした?』
俺はそう問い、グラスに口をつけた。
茜は意を決したようにグラスから顔を上げて。
俺と視線をあわせた。
そして。
“スゥ”っと息を吸い込むと。
一気に言葉を吐き出した。
「なッ、なんで…私、服着てなかったんでしょうか?!」

