半熟cherryⅡ


『……は?』





“武勇伝”





たしかに始業式の後。

そんな話をしてたかもしれませんね…。

そんなのすっかり忘れてた。



つーか、忘れててクダサイ…。



そのまま。

記憶から消してクダサイ…。





『…大した話じゃないし』





ホントに。

あんな話、酒のつまみにもならないから。

ただの“暴露話”だし。





「…あの話はね〜」

『うわッ!!バカッ!!』





ビールが飲めない八つ当りか。

涼真が口を開いた。





『黙ってろ、バカ』

「じゃあ飲ませろ」

『俺にそんな権限はねぇ』





その時。





「昔の話でしょ?私も聞きたい!!」





茜が“ダンッ”と飲み干したビールのジョッキをテーブルに勢い良く置いた。





…茜までそう言う?





「茜も知りたいって♪」

「知りたい〜♪」

「飲みたい〜♪」





涼真のバカはほっとくとして…。





『……カンベンしてよ……』





こうなった一美センセイと茜は止まらない。





俺は腹の底からため息を吐いた。