インプラント

必死で叫ぶ沙希を残し男は歩きだす。




沙希は泣き崩れ道に座り込む。

そんな沙希の姿に男は一瞥もくれず歩いていく。




「沙希は俺のことが好き。それが幻だったんだ。

なぜこのことに気がつかなかったんだろう?」




男の前に再び薬局の看板が現れる。

街の繁栄から取り残されたその佇まい。




古びたドアを開けると老人がにやりと笑い

出迎える。