インプラント

天井にぶら下がる古めかしい装飾。

埃が厚く積もった古めかしい装飾が

男の頭上に広がっている。




この空間で男は何を思うのか?




男は何のしがらみもなく

純粋に体が欲する者の名を叫ぶ。




「沙希!」




打算のない言葉が

暗い店内に響いていく。




「戻ってきてくれ!」




男は今更ながらに分かったような気がした。

人を愛するということを。