インプラント

老人は懐から錠剤を出した。




男は必死に抵抗するが

老人は男の口に錠剤をゆっくりと押し込んでいく。




唇からのどにするりと入った錠剤は

男の身体の中でゆっくりと溶けていき




やがて全身を支配していった。




「あちらの世界で彼女に会えたらいいのう。




じゃがもし会えたとしても

お前は彼女のことが分からなくなっとるかも知れんがのう。




ははは…」




男の周りでまたもぞもぞと落書きが動き出していく。