インプラント

高笑いする老人に抵抗したいのだが

体に力が入らない。




老人は倒れこむ男の顔を

足で踏みつける。




「この街にはな。わしの薬で木偶人形になった奴が何人もいる。




奴らは街の憎悪に取りつかれ

夜な夜な自らも呪いの言葉を壁に刻みこんでいる。




だからな。この壁に書かれた落書きには魂がこもっとるんじゃ。




この薬を飲んだお前は

だんだんと落書きに魂を食われていくじゃろう」