インプラント

「薬が切れたようだな」




老人はそういうと男の髪の毛をつかみ

乱暴に顔を引き上げる。




「この薬はよく効くじゃろ?ふふふ…」




魂の抜けたように倒れる男に向かって

老人はそういうと唇を歪め笑う。




「お、おまえの薬なのか?」




男がそう言うと老人はより一層

大きく笑いだす。




「あんたの彼女はな、わしの店に来て

自分の存在価値が紙より軽いことに気がついたので死にたいと言ったんじゃ。




だからわしはこの薬を渡してやった。ただし…」




老人の高笑いは最高潮に達する。




「これを飲むと死ぬより苦しいんじゃがな。はっははは」