漆黒の闇

紫に怪しく光る蝋燭の火

広い部屋の奥、その城の主が座るべき場所に、一人の男が座っていた

男は片手に血のように赤いワインの入ったグラスを持っていた

そして、そのグラスに入っているワインを一口、口に流す

「退屈なものだ、一人で飲むワインは」

男は呟いた

肘をつき、部屋の闇をじっと見つめた

「やはり、人間は我が退屈を癒すことは出来ぬのか」

また呟く

男は退屈していた

退屈で退屈で仕方ない

毎日、退屈で、ただ人間を殺すだけ

「ならば、おもしろくすればよいのか」

男はくっと笑った

「誰かおらぬか!!」

「はっ!ここに」

男の声に、一つの闇が現れた

「退屈せぬために、奴らにここを攻めやすくするのだ」

「はっ、仰せのとおりに…」

そしてその闇は消えた

「さて、はじめるとしよう。」

男は高らかに宣言した

全てのはじまりと終わりを…