私と『彼』には、愛してやまない猫がいた。
結婚して3年。
子供ができない私達にとって、『レオ』と名付けられたその子は、猫ではなく、我が子同然の存在。

私達が、愛し合っていようが、大喧嘩していようが、いつも。
私達のそばに居てくれる。
猫なのに、平和主義!
私達に爪を立てるなんて事、まったくなくて。
いつも優しく寄り添ってくれる穏やかな子。
我慢強くて、強い子
その。大切な大切なレオが・・・。
いつものように、食事を済ませた後。
パッタリと倒れた。
もともと、腎臓に持病があり、それまでも体調を崩すことはよくあった。だけど。その日は、なんかいつもと違って。
息が荒い。
慌てて、私達は、レオを連れて救急病院へと車を走らせた。
『祈る』ような気持ち。『死なないで!』

緊急処置を施してもらって、出来うる限りの検査をしてもらった。
不安で不安で。私達は、黙り込んだまま待合室で隣り合わせに座ってた。

結果は、悪性の腫瘍。
病名が、はっきりした頃には、夜が白々と明け始めていた。
一命を取り留めてくれた安堵。


不安な気持ちも、ホッとした気持ちも全部。
『彼』の体温を通して伝わってた。
私達が、しっかりしなきゃね。
レオに約束した。