「こいつの家、親父とかが今病気で倒れてて…。 バイトしないと金銭面でもいろいろと問題があったんです」



先輩の、とっさについたウソ。


私をかばうため、守る為のウソだって、


すぐに分かった…。



「しかし…、高校生以下の子を働かせていたことがいろいろと広まってしまうと…」


店長は頭をかかえる。



「すみませんでしたっ」



私は、すごくすごく、


すごくすごくすごく…。


ダメなことをしてしまった。


そんなこと、分かってる。


分かっても分かっても、分かりきれないぐらい分かってる。


だから、余計に悪い事をした気持ちが強くなる。



深々と頭を下げた。



「…」


店長は険しい表情をしたまま、立ち上がり、


私の目の前に立つ。



「…もう、してはいけないですよ?」



そう言うと、店長の手に握り締められていた生徒手帳は、


私の手の中にうつされた。



「はい…」



また、なきそうになった。


その隣で、先輩も涙目。



「このことはもう無かったこと…、黙認しておくのは本来ならいけないことですが、今回は仕方ないです」


店長が、優しい人で本当によかった。