「ちょっといいですか? 山本さん」



その日、店が閉まってから私は店長に呼び出された。


拓先輩は、


「俺もついていくから」


と後ろで言ってくれた。



…大体、何を言われるか予想はついてた。


予想はついてはいたけど、


それでもやっぱり…。



事務室に入れられ、後ろには先輩がたっていた。



「コレ…。 あの女子高生たちから渡されました」


「…はい」



やっぱり…。


店長の手には、あの女子高生たちが持っていた生徒手帳が、


しっかり握られていた。



「中学3年生だったんですね?」


「……はい」


「そうですか。 学校に連絡せざるを得ないですね」



店長は大きなため息をつくと、


電話を手に取ろうとする。



「待ってください!」



そこに拓先輩が、大きな声を出して店長を止めた。



「なんですか遠藤君…。 あなたは仕事に戻ってなさい」


「話を聞いてください!」


先輩は私のために頭を下げてお願いする。


私も、あわてて頭を下げた。