「どうした?」


先輩は黙って私に胸を貸してくれた。


その瞬間、緊張の紐が解けて、


涙がボロボロ零れ落ちる。


恥ずかしい、こんなの。


幼稚園児みたい。




「私…。 あの高校生たちに生徒手帳見られちゃいました…」


「うそ!?」



先輩の体は、少し揺れた。


驚いたのかな…。



「まぁ、感じの悪いヤツらだとは思ったけど…」



頭をかきながら、「困ったな」と先輩は言った。



「それで…。 あの時飲み物を私がこぼしたなんて言ってたけど、あの人たちの中の1人が、カップを倒して…」



あの時のコトが頭をよぎる。


思い出すたびに、体が小刻みに震えてた。



「そっか、分かった」



先輩はまた黙って、私を抱きしめてくれた。



「バラすって言われたんです…! もう学校にバレちゃう…」


「大丈夫だよ」



こんなときでも落ち着いた先輩の声。


先輩は大人だね…。


それに比べて私は…。



先輩、こんな幼稚な私を嫌いになったりなんてしない?