ガチャ…。


私が更衣室の椅子に座り、うつむいて少し涙目になっていると、


ドアが開いた。



「桜…?」


心配そうな声で私を呼ぶ。



「拓先輩ですか……?」


「うん」



私の声を聞いて安心したのか、拓先輩は更衣室に入ってきた。



「ココ女子更衣室ですよ…?」


「大丈夫だよ。 今は皆仕事してるから」


「…」


私は小さくため息を漏らした。


まさかこんな失敗をするなんて。


ポケットに生徒手帳を入れておいたのが、軽率すぎた。


甘く見てた、軽く見てた…。



自分が憎くて、あの女子高生たちを思うと悔しくて。


もう、ダメかなって。



「うっ…、んっ…」



涙を必死でこらえるけど、もうダメ。


こらえきれない…。



私のこらえようとする様子を、隣にいる先輩は感じ取ってたと思う。



「何があった?」



優しくて、でも少し低いトーンで先輩は聞いてきた。


この声が、すごく落ち着く…。