それからも無言でケーキを食べる私たち。


やっぱり…、さっきのはいけないよね。


何か、悪いコトしちゃった。




「ねぇ桜ちゃん」


「はい?」


沈黙を破る凪先輩。



「拓はああ見えてシャイなんだよ!」


「は、はぁ…?」


「昔っからね、ちょっと照れ屋で…」



何が言いたいのか、全然わかんなかった。



「それで、言いたいことハッキリ言えなくてさー!」


「…」


「消極的で、何に対しても奥手でね」




私に…、自慢…してるの…?


遠藤先輩と付き合ってるから?


私が、遠藤先輩のコト好きって、分かってるから?


…なんでそんなヒドいコト。



急に涙があふれ出てきた。



「えっ、桜ちゃん…?」


「やめてください…もう…」


「何を…?」


「そうやって、自慢話ばっかりっ!! 私に嫌がらせですか!?」


「そんなっ! そんなつもりないよ…」


「じゃあどうして!?」



息をするのも苦しくなる。


つらくなる。


イヤになる。


こんな幼い嫉妬をしてる私に。


凪先輩は、何も悪くないのに。



「ごめんなさい。 帰ります」



私は食べかけのケーキをテーブルに残したまま、


店を出た。