「ハルが心配するよ」
「………。」
「ズル休み禁止」
そう言って
あたしの鞄を掴む
足が止まる
「……関係ないし」
「え?」
「藤森君は関係ない」
顔を背けたまま
彼の手を振り払う
「俺のこと嫌い?」
「………。」
「嫌いだよね」
「………苦手」
正直に頷く
さすがに目を見ては言えないけど
「素直じゃん」
怒らないんだね
怒るかと思った
わかってるなら聞かないでよ
「ごめんね 知永」
「なんで謝るの?」
「俺 優しくないから」
「………。」
「ハルみたく」
また藤森君?
「教室 戻りなよ」
「秦野君は?」
「屋上」
あたしの髪の毛に触れる
「じゃあね」
ぽんっと頭を撫でて
そのままあたしに背を向けて歩いて行った
「あ」
「……え?」
もう1回 振り返る
「ちなみに俺はね」
「うん」
「知永 好きだよ」
「………。」
なにそれ
やっぱりこの人
よく わかんないや
「……戻ろうかな」
気が変わった
教室 戻ろ



