シュガーズ



「バイバイ 衣都姉ちゃん」


小さな身体で大きく手を振る眞子


保育園に送り届けてあたしは学校へと向かう


最近

しっかり寝れてるおかげで足が軽い


夏場に走って登校するのは少し嫌だなぁ……






いつものように小走りで校門を抜けて

昇降口

下駄箱へと足を進める



「………っ」


階段を駆け上がって

廊下に出ようとした曲がり角


突然 現れた人影

避けきれずに肩と肩がぶつかる




「……ごめんなさい」



あたしはよろける

相手の女の子はそのまま廊下に座りこんでしまった


ほぼ同時に

チャイムがなり始める





「大丈夫……ですか?」


屈んで座り込んだ女の子の顔を覗き込む


怪我はしてないと思うんだけど



あれ


「……横江さん?」



あたしの口から漏れる言葉



チャイムが鳴り終わる

廊下にはもう誰もいない

今日も遅刻か

なんて

この状況ではどうでもいいことが頭をよぎる



「……大丈夫じゃないよね」





これからどうしよう



今 ここの廊下にいるのは2人だけ


あたしと

何も言わず座り込んでただただ涙を流す横江さん