正直
なんか急に気が抜けた
もう
深夜にバイトしなくてもよくて
喫茶店のバイトだってフルで入らなくていい
家庭教師の件はまだ返事してないけど……
そうは言っても
「……やることないな」
授業中に寝る必要がなくなって
放課に寝る必要がなくなった
寝キャラ卒業
突っ伏してたのは
疲れのせいだけじゃないんだけど……
さて
眞子の迎えの時間まで
どうしよう
「……あ」
頬杖をつきながら
あれこれ試行錯誤していると
1人の女の子が教室に入ってきて
目があう
「知永さん」
「……はい」
あたしのこと知ってるってことは同じクラスの子?
……とは限らないか
噂のこともあるし
「あ……えっと」
「………。」
黙って見てるとその子はあたふたし始めた
なんか困ってる?
手には楽器のファイルと楽器の入ったケース
「あ……部活か」
練習に教室使うんだ
あたし
もしかしなくても邪魔だよね?
何も言わずに荷物を持って席を立つ
「ま……待って」
教室を出るギリギリのときに呼び止められた



