１つは
誰の力も借りないで晴緋君を落としたいって思うから
秦野 稚空に対する反抗
あたしの意地
もう１つは
有言実行じゃなきゃダメなあたしの迷い
もしかしたら
晴緋君を落とせないんじゃないかっていう
小さな不安
「あたしね 中学時代は稚空君のこと好きだったの」
「………そうなんだ」
あんなやつのどこがいいの？
「でも………稚空君はあたしが好きじゃなかった」
俯く芽依ちゃんの口調から察する
もしかしたら
「……まだ好きなの？」
だって
彼氏いるじゃん
「ううん そうじゃない……今のカレ大好きだし」
芽依ちゃんは顔を上げないまま首を横に振る
「ただね ずっと見てきたからわかるんだ」
芽依ちゃんが顔をあげる
これはあたしの単なる勘
芽依ちゃんは気づいてる
「稚空君のこと嫌わないであげてね？」
秦野君があたしに告白なんてしてないことに
気づいてる
「稚空君ってね もともと女の子と群れるタイプじゃないの」
「うん」
「知永さんに話しかけてるの見たとき すごくびっくりした」
