「晴緋君と同じ中学なんだァ」

「うん そうだよ」


目の前でふんわり笑う芽依ちゃん


あたかも今知ったみたいに振る舞ってるけど

もちろん事前知識

たしか

りっちゃんに聞いた


学校帰り2人っきりで近くの喫茶店にいる


もちろん

晴緋君の中学時代を知るためだけど



「晴緋君ってどんな感じだったの?」

「そうだなぁ……」



言葉を探す芽依ちゃん

あたしはアイスティーを口に運ぶ



「今と同じかな」

「同じ?」

「うん」


平和主義
みんな平等

クラスに馴染めない子をほっとけない


芽依ちゃんは言った



「稚空君とは昔から仲良かったよ」

「……え?」


ふいにでた彼の名前に固まる


「中学の時からずっとバッテリーだもん」

「ふーん」




『あんた ハルのこと好きだろ』


今までもずっと近くにいたからわかるとか?



バッテリーってことは秦野君も野球部か


興味ないけど……



「澪梨ちゃん 晴緋君のこと好きなの?」


芽依ちゃんが小首を傾げる


「……そんなことないよォ」


あたしは


「ただ少し気になって」


嘘をついた