あたしは
知永 衣都に劣ってるなんてことない
「橘さん 部活してる?」
放課後
2人で廊下を歩く
あたしは彼よりも半歩だけ後ろを歩く
みんながあたしたちに注目してる気分になる
「やってないよ」
「じゃあよかったぁ」
「え?」
はにかむ晴緋君
あたしは『よかった』の意味がいまいちわからない
「俺 部活で参加できないことが多いと思うんだ」
野球部 エース
藤森 晴緋
「たくさん任せちゃうと思う……ごめんね」
世話好きな彼が
クラス委員に立候補しないなんてこと
冷静に考えたらありえない
彼がためらった理由
今ようやくわかった
「部活やってない人なら 知永さんでもよかったんじゃない?」
「知永さん バイトで忙しいだろうから…」
期待したあたし
バカみたい
「橘さん クラス思いだから絶対適任だと思って」
晴緋君を
゙共感"
させたのはあたし
最初に墓穴を掘ったのは
あたしってこと?
「頑張ろうね」
「……うんっ」
自分でも
顔が引きつってるのがわかる
彼に気付かれないといいけど



