『澪梨ちゃん 可愛い』
『うらやましい』
昔からそう
『あなたは自慢の娘よ』
『好きだよ 澪梨』
昔からホメ言葉は飽きるくらいもらってきた
1人娘として大切に育てられてきた
あたしの周りは幸せで溢れてる
笑顔で溢れてる
愛されてる
無垢なあたしは
純粋に
単純にそう思ってた
それがあたしの誇りだった
だけど
それが愛じゃないって気づくのに
そんなに時間はかからなかった
「澪梨ちゃん?」
「………あっ」
いけない
気抜いてた
「大丈夫?」
「全然 平気だよ♪」
「よかった」
詩ちゃんは笑った
そうだよ
大丈夫
今もあたしの周りは笑顔で溢れてる
「彼氏とね もうすぐ1年の記念日なんだ」
「そうなんだァ」
詩ちゃんに笑いかける
人間観察ばっかりしてるとね
時々 思うの
みんなバカだよなって
人は儚いものが好き
脆いものが好き
そのくせ
世の中を上手く渡っていくには
どうすればいいかって考えて
置いて行かれないよう
振り落とされないよう
必死に頑張る
なんか
笑っちゃう