「橘さん……稚空?」
秦野君が身体を離す
「あ ハルじゃん」
「晴緋君………」
見られた
動揺するあたしとは対照的にやけに冷静な秦野君
考えてみればそう
アンケートを取りに戻ったあたしの帰りが遅かったら
彼があたしのことを放っておけるわけがないんだ
探しにくるに決まってる
「稚空……お前」
そんな秦野君を見て晴緋君の表情が変わる
「ふざけんなよ……」
晴緋君はいつも穏やか
そんな彼が秦野君の胸ぐらに掴みかかる
衣都ちゃんのことがあったときあたしに詰め寄ってきた秦野君と同じ目をしてる
「衣都がいないからって……最低だな」
勘違いだよ
それなのに秦野君は何もいい返さなかった
それどころか挑発するような目で睨みつけてる
「………っ」
晴緋が思い切り殴る
あたしは何もできずにその場で佇んでいた
修羅場
「衣都のこと裏切んのかよ」
「………じゃあ ハルはどうなの?」
秦野君が立ち上がる
「俺のこと 裏切ってんじゃん」
「え………」
「友達の彼女に手ぇだしといてよくそんなこと言えるよな」
「…………。」
晴緋君が黙る



