「みおの過去は知らないけどあたしにも痛みはわかる」
よっこちゃんがあたしをじっと見た
「みおは1人で生きてるつもりかもしれないけど違うでしょ」
「…………。」
「もう満たされてることに気づいたっていいんだよ」
満たされてる
あたしが?
「思ってくれる人は1人いればいいじゃん」
「そんな人あたしには……」
「あたしはみおの味方」
「………よっこちゃん」
「あんたがどんだけ悪いことしたってあたしは見捨てない」
そう
1度だってない
「それだけじゃダメなの?」
よっこちゃんはあたしを咎めたりしない
「みおがすることに理由がないことは1つもないって知ってる」
目頭が熱くなる
猫をかぶらない素のあたしを見せても背を向けることなんかなかった
よっこちゃんの言葉がいつも図星だった
見抜かれてるような気がした
汚いあたし
悪い女を演じることでしか自分を守れなかった弱いあたし
嫌だったの 周りの目が
そして知永 衣都にあってあたしにはないもの
全部 認めるのが嫌だった
彼女には心から心配してくれる人がいる
当時のあたしには何もなかった



