「よっ 知永」
「………久しぶり」
本当に久しぶりに見る秦野君の姿
実際の日数よりもずっとずっとずっと久しぶりに感じる
「浴衣」
「え?」
「似合うじゃん」
「………。」
待ち合わせ場所は近所の公園
花火大会の会場までは少しだけ距離がある
だからこのあたりは人もあまりいないし街灯も少ない
すごく静か
あたしが黙れば当たり前のように沈黙が流れる
「あの………秦野君」
言いたいことはたくさんある
まずは謝らなきゃ
「なんも言うな」
「………え?」
「俺が先に言うから」
並んで歩く
さりげなく歩幅を合わせてくれる彼
まだ真っ暗ではない
浴衣は暑い
ドキドキ……する
「あのな」
「ん?」
「俺 やっぱり部活続けようと思う」
「………え」
「野球が好きだから続けようと思う」
そう言った秦野君は笑顔だった
「それが俺の答え」
顔が綻ぶのがわかる
あたしの言葉は無駄じゃなかった
決めたのは秦野君だけどあたしの存在にもちゃんと意味があったんだよね?
「…………秦野君」
あたしは彼の右手を握った
初めて
自分から



