秦野君の様子を窺う

俯いたまま黙ってる



「えっと……あの…ごめんなさい」


余計なこと言ったかも



「でも……野球してる秦野君 キラキラしてたから」


だけど簡単には引き下がりたくない



「それって本当に俺なの?」

「………え」

「゙ハル"の間違いじゃないの?」

「なんで……」


秦野君があたしに向き直る


「俺はハルと違って好きで野球してるわけじゃない」


彼は続ける


「自分のプライドとか地位守りたくてハルの傍にいるだけ」

「………。」

「゙藤森 晴緋"の傍にいるための野球だった」


もうたくさんだ

最後に秦野君がいった言葉が耳に残った

あたしの中で響く


違う

そうじゃない



「秦野君は間違ってる」

「………え?」

「自分にいい聞かせてるようにしか見えない」


゙野球が嫌い"

゙ハルから離れなきゃ"

そんなの悲しいじゃない



「自分から逃げてるだけじゃダメだよ」


これをあたしに教えてくれたのはハル君



「秦野君は自分らしく生きればいいじゃん」



比べられるのは嫌い

人の目が苦手

彼とあたしの概念は根本的には同じなんだ