゙でも好きなの"
あの日
ベンチでの2人の時間を思い出す
「あたしをそばに置くことも考えて」
「………橘さん」
とっさに抱きついちゃって内心パニックになるあたし
心臓の音
彼に聞こえてないといいんだけど
「衣都ちゃんよりずっとずっと……」
あなたにお似合い
「晴緋君のこと思ってる」
晴緋君は何も言わずにあたしの肩に手を置いた
拒絶
身体を離す
「……ごめん」
抱きしめかえしてくれると思ったのに
あたしじゃダメなんだ
「橘さんのこと そういう風には考えらんないんだ」
知永 衣都じゃなきゃダメってこと?
「これからも橘さんとは友達でいたい」
完全に一線を引かれた
もう 何をしてもダメなんじゃないかな?
そのときは思った
知永 衣都じゃなきゃだめなのかなって……
でも違った
実際に引きずってるのは衣都ちゃんじゃなくて
くーちゃんなの?
今 衣都ちゃんに固執するのば秦野君の彼女"になったからなんじゃないかな……
人は手に入らないものが欲しくなる
届かないものがキレイに見える
友達の彼女だから魅力的に感じるんじゃないの?



