今年も何事もなく過ぎればいいなって思う
友達なんていらないし
まして彼氏なんて欲しくない
誰に嫌われたって構わない
人の目線なんて気にしない
自分の境遇を可哀相だなんと思ってない
なんとかやり過ごせればいい
あたしには眞子さえいれば何もいらない
「いってらっしゃい」
「ばいばーい 衣都姉ちゃん」
いつものように眞子を保育園に連れて行く
ここから1番近いのがあたしの今通ってる学校
それでも歩いて40分はかかる
眞子のお見送りの時間に合わせると学校に着くのは走ってギリギリ
歩くと確実に遅刻
先生たちは事情を知ってるから問題ないんだけど
奨学金で通わせてもらってる身だから
できるだけ遅刻したくないし
『あの子だけ特別扱い』
とか変なやっかみは受けたくない
面倒だから
自転車だったら便利なんだろうけど
うちには子供用の自転車しかないもんな……
大きい自転車は乗ったことないから
乗れるか不安
今どき自転車乗れない子なんていないんだろうね
まぁ……
人と比べたって仕方ないけど
そんなことを考えながら学校までの道のりを全力で走る