『あぁ……間違えた』


そう思った




「ねぇ あたしのどこが好き?」

「何言ってんだよ」

「ねぇ 答えて」

「顔に決まっんじゃん」


大好きな彼氏からの言葉


あたしは間違ってた


みんなが好きなのはあたしじゃない

゙橘 澪梨"じゃない


あたしの容姿でしかない


あたしは愛されてたんじゃない




「顔だけ?」

「だって連れて歩いてたら自慢できるし」




あたしは必要とされていたんじゃない

ただのブランド


誰も本当のあたしを受け入れてくれてたんじゃない


゙友達"なんて思ってたのはあたしだけ


信じてたのはあたしだけだった



「澪梨ちゃん お姉ちゃんにそっくりね」

「可愛いよ」


小さいころから両親にはそう言われてきた

誉め言葉なんかじゃなかった


所詮あたしはお姉ちゃんの代わりにすぎない




「………大嫌い」


家を出たくて あたしを知ってる人がいない県外の高校を選んだ



信じるから裏切られる
だったら信じない


利用される前にあたしが利用すればいい


あたしの゙可愛い"を武器にすればいい

嫌われ者のあたしを隠してみんなの理想の自分を作ればいい