体育は嫌い
運動が苦手とか そういうのじゃないんだけど
みんなでワイワイする時間って好きじゃない
楽しい空間には馴染めないし
居心地が悪い
゙友達"がいないあたしがその場にいることで
周りの空気悪くするのもイヤ
だから
体育の授業には週に1回出ればいいほう
今あたしは制服のまま中庭にいる
どうせ誰もいないし 教室でもいいんだけど……
やっぱりここが落ち着くから
軽くため息をつく
「………。」
後ろで砂を蹴る足音が聞こえて
あたしは身体ごと振り返った
「………あ」
秦野 稚空かと思った
「知永さん」
そこに立っていたのはジャージ姿の横江さん
「……どうした?」
気まずい雰囲気にたえかねて聞く
「なんか………」
「え?」
「知永さん見ると泣けてくる」
見るとボロボロと涙を流してる
「え……ごめんっ」
思わず
反射的に謝った
ベンチから立ち上がって横江さんに駆け寄る
「あたしには……ダメだ」
横江さんは泣きながら言う
「……全然 強くない」



