「………」 「………」 歩いている間、あたしたちは何も話さない。 ただ、せんせーはあたしの左手をずっと、しっかりと握っていた。 あたしもこの手を握り返した。 しばらく歩いて、せんせーが小さな声を出した。 「…今日はごめんな。もう帰ろうか。」 「………うん。」 せんせーはあたしを家に送ってくれた。 黙って、静かに。 帰り道、あたしとせんせーの間にあるのは、いつもより強く握られた手と手だけだった。