「着替えたよー」

ドアを開ける。

あれ?いない……。

もー、どこ行った?

部屋の外の廊下をうろちょろしてると……

「まーさ!何してんの?」

「ぎゃっ」

いきなり肩に手をおかれた。

びっくりしたー。

「脅かさないでよ!」

「あはは、そんなつもりはなかったんだけどね」

その顔はわざとだな。

雷斗の意地悪なときの表情と一緒だから。

もう分かっちゃうんだよね。

「真麻は抜けてるから面白いんだよね」

あっそうですか。

抜けてるって失礼なっ!

「やっぱデカかったね〜」

ジャージに大きくて綺麗な指が触れる。

「身長差が激しいからか〜」

ん?それ、遠回しにチビって言ってるようなもんだよね。

「普通の背なんですけど」

それか、少し高いくらいじゃない?

ってか、翔が高いだけだし!

「あはは、そんな顔しないの!」

私の頬を横に引っ張る。

「いひゃいー(いたいー)」

腹黒男ー!ムカつく野郎ー!

私も翔の頬を横に引っ張った。

「いひっ!まあひゃのにゃかじきゃらー!(いたっ!真麻の馬鹿力ー!)」

暫く引っ張りあっこしていた。

私は力を加えるけど、翔は加えてこなかった。

私が女だからだと思う。

小さな優しさだなー。

ギブアップしたのは翔の方だった。

「勘弁勘弁!」

頬を擦りながら涙目でいった。

そんな姿に私は爆笑で…。

私の髪をわさわさしながら微笑んだ後、

「よしっ!いこっか?」

と私の手を握った。

翔は腹黒いけど、やっぱ好きだなー。友達として。