「今から、真麻の家に向かってもいい?」

「いいよー」

また、あの外車様が来るのか。

出来れば、普通の車できてほしい。

そんなの、無理だけど。

外車様しか持ってなさそうだもんね。

外車様って、見たら謝りたくなる。

物なのに。命ないのに。

あまりにも、立派すぎるからね。

「じゃあ、今から行くから。クラクション鳴らすからでてきてよ?」

「鳴らさなくていいです。もう出ときます」

こんなボロアパートの近くで、そんなことしないでほしい。

ただでさえ、ここら辺、噂好きのおばさんが多いから。

私みたいな若者はいない。

「はいはい。じゃ」

“ブツッ”

思いっきり切りやがった。

ま、本当に鳴らされたら困るから、分かりやすい場所にいよ。

私は、浴衣の入った袋と財布と携帯をもって家をでた。