実桜は、苦しそうな笑いを漏らしながら、淡々と喋りだした。
涙は、ずっと流れていた。
俺は、実桜の膝の上に置かれていた、手を握った。
「…実桜…。
俺には、素直に何でもぶつけてこいよ。
無理に、笑う必要なんてねえよ?」
実桜は、俺が握った手を軽く振り払い、いきなり俺の胸に飛び込んできた。
そして、さっきよりもさらに切ない顔をして俺を見つめてきた。
「渉…。
ヒク…ごめヒク…ん。
少しでヒク…いいから…ヒク」
実桜は、嗚咽を漏らしながら、一生懸命に話していた。
俺は、両腕で実桜を優しく抱きしめた。
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