彼の隣に生まれついたのは、偶然じゃなく必然だった



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「おかえり。」

懐かしい駅の改札をくぐると、見慣れた車の前に、お母さんが笑顔で立っていた。

「ただいま。」

荷物を車に入れながら、助手席へと乗り込む。


「っていうか、仕事は?なんでまた急に一週間も休みなんか。」

「うん、実は次の号のあたしのページさ。エッセイっていうか、小説っていうか。あたしの書いてる物語が載る予定なんだ。で、ちょっとその小説のラストがね、まだ決まってないっていうか。煮詰まってて。休暇もらった。有給も残ってたし。」

「そう。」

お母さんは、それだけ言うと黙って運転に集中する。


あたしは、窓から、懐かしい景色を眺める。