彼の隣に生まれついたのは、偶然じゃなく必然だった



「彼女とは、幼なじみで。この業界に入る前から、ずっと好きでした。今は僕の片思いになってしまいましたが、生涯愛し続けたいと思える人です。心ない人は、彼女と僕のことを、不釣り合いだとか、似合わないとか、言うかもしれません。でも僕は、僕自身のファンを信じてます。そして、僕が惹かれた相手なら、祝福してくれると思ってます。だからどうか、彼女のことは、つきとめようとはせず、そっとしておいて欲しいと思ってます。」

『じゃあその方とは、今はおつきあいはしてないんですか?』

「えぇ。でも、もしまだ遅くなければ、もう一度だけ、自分の正直な気持ちぶつけに行こうと思ってるんで。フラれないよう、応援よろしくお願いします(笑)」


祐輔が、そう少しふざけて言うと

記者たちから笑い声がもれる。



あたしの目からは、涙がほほをつたう…




『彼女がこの記者会見見てる可能性ありますよね?』

「えぇ、そうですね。見てるといいんですけど。」

『じゃあこの会見は、レイナさんとの交際を否定するのも、彼女の為に開いたと思っていいんでしょうか?』

「はい。」


『ファンは、でもやっぱり嫉妬する人もいると思うんですが』

「そうですね。オレ実は、あ、すんません。僕って言ったほうがいいです?」

祐輔がそう言うと、記者たちがまた笑う。



…テレビで初めて見る。


”悠”としての彼じゃなくて


”祐輔”として、そこにいる。