祐輔の、王子様の隣は
彼女みたいな、お姫様がよく似合う。
みんなから愛される物語は
王子様とお姫様が結ばれる。
王子の隣に生まれてきただけの
平凡な女の子との恋なんて
存在しない。
その子が実はプリンセスだったって展開じゃない限り。
「杏里?どーした?」
後ろから肩をたたかれて、振り向くと咲がいた。
「…何でもない。さー最後の仕上げ頑張ろー!」
これまでで、一番素直な笑顔を向けられた気がした。
咲がほっとしたから…
平凡な女の子は、王子の幸せを祝福するの
彼女が流す涙なんて、
物語にもならない。

