彼の隣に生まれついたのは、偶然じゃなく必然だった



「杏里ちゃん。この後は直帰?送ってくよ☆」

ぽんと肩をたたかれて、振り向くと優斗君が笑顔で立ってた。

「えっと…」

「いいよ、杏里。今日は帰んな。あたし事務所よってくから☆」

あたしが応えるより先に、咲がそう応える。

「…でも。」

「いーのっ!言ったでしょ?もっと頼ってよ、杏里は今日1日耐えたんだから、もう帰んなさいっ。」

咲はそう言って、あたしを優斗君の方へ押す。

優斗君は、そんな咲の言葉を聞いて、あたしの肩を抱き寄せる。

「咲さん、有り難うございます!じゃあお先に失礼します。」

「咲、ごめん。ありがとうっ!」

あたしは優斗君に軽く引っ張られるような形で駅に向かった。