「杏里ちゃん!大丈夫?」
少し離れた場所で自分の仕事をしてた優斗君が、あたしの所に駆け寄ってくる。
「ごめん、あたしは全然大丈夫。ちょっとぼーっとしてコードにつまずいちゃった、ごめんなさい。」
そう言って、みんなに頭を下げた。
「いやー、でも悠君危機一髪っていうか。すげー反射神経だよね、高崎さん怪我しなかったのはホントすごいっ!悠君がたまたまいてくれて良かったねー。」
一人のスタッフさんが、そう言って笑う。
そしてみんなが祐輔に拍手する。
“たまたま”祐輔がいて、か…
直前まで、あたしは祐輔を遠く見つめてたのに。
いつの間にかそばにいた。
いつだって祐輔は
そうやってそばにいて
どうして、祐輔なのかな。
優斗君だったら、良かったよ

