そう言って、着いた場所は少し古びた映画館で。
うん、イメージ通り。
今にもつぶれそうな、そのレトロな映画館は。
何か懐かしさがあって落ち着く。
何故か昔から好きなんだ。
きっと祐輔と、小学生の時から良く行ってたから…
「ずいぶんさっきの店とは雰囲気変わるね。とてもオシャレって感じじゃないけど…」
優斗君は不思議そうにその映画館を眺める。
「うん、オシャレでキレイな映画館は最近多いけど。人がいっぱいいるでしょ?逆に今はこーゆー小さい映画館ってほとんど潰れちゃってて見ないから新鮮って言うか。一目にもつかなくて、お忍びデート出来そうな感じじゃない?」
「そっか!うん、でも僕もこーゆートコは嫌いじゃないかも。懐かしいよね、子供の頃思い出すっていうか。」
「え?優斗君って、どこ出身?こんな映画館あるんだ?」
「僕、出身は地方の結構田舎だよ。だから全然あったよ、こーゆートコ。」
「そーなんだ。」
何気ない会話で、優斗君の事をどんどん知っていく。
今日だけで何個新しい発見があっただろう。
こーやって、恋って始まっていくのかな…
なぜかズキンッと心が痛んだ

