彼の隣に生まれついたのは、偶然じゃなく必然だった



「…でもさ、どーしてここ選んだの?都心からも離れてるし、何もないっていうか。デートスポットって感じじゃないよね?」

不意に隣を歩く優斗君がこっちを見ながら聞いてくる。

「うん、何ていうかな。今回はあのモデル2人がまぁメインで、狙ってるターゲット層って彼らのファンになってくるじゃない?だから、あえてリアルに、目立たないでお忍びで行けそうなトコ選んだの。ファン心理的に、悠の日常生活を垣間見れた!って思わせるのが目的。」

「そっか、なるほどね。さすが杏里ちゃんだなぁ、やっぱスゴイや。ソレ絶対売れそう。」

優斗君が納得しながら前を向く。

あたしは少しほっとしてしまう。

さっき言ったコトは、編集長を納得させる為の建て前にしかすぎなくて。



本当は、

祐輔とデートする場所って考えた時

あたしの目に止まったのは、地元と雰囲気が良く似てるこの街だった。

ただ、それだけ…