彼の隣に生まれついたのは、偶然じゃなく必然だった



「ふ~ん、ま、いいけどね。あたしは今だ“さん”ずけで、杏里は“杏里ちゃん”ねぇ。分かりやすいなぁ、年下君は」

咲がニヤニヤしながらあたしに耳打ちする。

「また咲はー、そんなんじゃないよ優斗君は。あたし優斗君ぐらいの弟いるじゃん?なつかれてんのも姉弟みたいな感じだって。」

そう言いながらも、あたしも実は少し好かれてるんじゃって感じてる。

あたし以外にはみんな“さん”ずけで呼んだりする。

そんな些細なコトに少しドキッとする。

まぁ自分が頼りなくて、年上らしくなさすぎるだけかもしれないけど…

「ヤバ、杏里っ!悠来たよ、悠っ!」

「悠サン入りまーす!」

あたしが顔を会議室のドアに向けたのと、祐輔がドアを開けたのは同時だった。

時が止まる…

祐輔、コレがホントに祐輔…?

髪型も、服装も、スタイルも、あたしの知ってる祐輔とは全然違う。

祐輔なのに、別人みたい…