突然の企画変更は珍しいことじゃない。
「それで、そのモデルって誰なんですか?」
何気なく聞いたあたしの頭の中には、彼の名前なんて全然なかった。
ありえない偶然じゃないのに…
「そうそう、すげーぞお前ら。あの“悠”だよ。びびった?」
編集長はあたしと咲の肩を叩きながら、笑って顔を交互に見る。
「マジですかっ!?生“悠”なんてやばすぎ、あたしこの仕事してて良かったーっ!!」
咲が隣で喜ぶなか、あたしは声が出ない。
祐輔は、“悠(ユウ)”という名前で活躍をしてる。
「おい、高崎どーした?そんな絶句する程お前“悠”のファンなのか?意外だなぁ。」
そう言って編集長はあたしの顔を覗きこむ。
咲も不思議そうにあたしを見てる。
反応しなきゃ…
そう思うのに、感情がついてかない。

