彼の隣に生まれついたのは、偶然じゃなく必然だった



「おはよーございまーす。」

「おはよー、杏里。」

隣の席で同僚の咲(サキ)が挨拶を返してくる。

「今日の取材、どこ行くの?」

「うーん、実はまだどーしよっか悩んでて。もーちょいネットで探してみよーかと。ごめんね?」

「りょーかい☆」

咲は笑ってピースサインを向けてくれる。

実はあたしのミニコーナーを手伝ってくれてるのは咲で、ほぼ2人であのたった2、3ページを仕上げてる。

咲とは気が合うし、歳も近いし、仕事はすごくやりやすい。

この環境にも、仕事にも、人間関係も、ほんと全てがパーフェクト。

だからかな、ここ数年は彼氏なんて必要ないっていうか、男に興味がない。

咲に言わせるとオンナとしてそれは危険らしいけど。

あたしは別にムリに作るもんでもないと思うから。

こんな感じで今に至るっていう。