「行くぞ。」
そう言って、祐輔は歩き出す。
「ちょ、待って!ヒルトンって、本気?実家あるのに、ホテル泊まるって。」
「家族いるからやだって言ったの、そっちだろ?いーんだよ、オレ今結構稼いでっし?ってか、”悠”がその辺のラブホとか行けっかよ。」
「ラブホって!!!それ目的!??」
「ったりめーだろ?もうガキじゃあるめーし。ったく、6年も待たせやがって。」
「べ、別に待ってなんて頼んでないもん!っていうか、この6年の間にどーせ他の女とやってるくせに。」
「しょーがねーだろ?オレだって男だし。一応別れてたわけだし。おめーがまだオレのこと好きだなんて思いもしなかったんだから。」
「別に悪いとは言ってないけど。」
どーしてあたしは、6年ぶりなのに、こんな可愛くない態度をとってしまうんだろう。
祐輔といると、つい照れくささもあってか、こーなってしまう。
でも、なぜか居心地がいいんだ。
「あー、もう。何でこんな話になってんだ。っていうか、”ソレ”もあるけど、今はオレがお前と一秒でも離れたくないの!分かったか?」
こっちを見ないで、そうぶっきらぼうに言った祐輔が
とても愛しくて
「…あたしも、離れたくない。」
素直に、言えた。
「うん。」

