ココの通う小学校の校門が見えると、ココは「じゃあ行ってくるね!」と、マシロに告げる。それをマシロは笑顔で見送った。
周りの子供達と同様に、元気良く校舎内へと吸い込まれていくココに、マシロは思う。
ココが上手く行きますように――
「おはよう!ココちゃん」
教室に入ると、クラスメイトが各々にココへと声を掛ける。
その一つ一つにココは元気良く返事をした。
何の先入観も無くココを見て、挨拶をしてくれる。この事実が、ココにとって何より嬉しかった。
それは、前の学校では少し難しい事だったから。
それにしても――この学校は人が多いなぁ。
席に座り、ココはぐるりと辺りを見回した。
この学校自体が転入以前の学校よりも大きなもののため、クラス単位でも在籍人数が多くなる。
そうなると余計に、ココは目について仕方ないのだ――みんなの後ろに漂う、黒い影が。



