ココとマシロ



「……で?影がどうなんだって?」


直哉ごときにいつまでも構ってられないと、笑華は心を鎮めようと努力する。するとココは「あ、そっか。でね?」と、話を戻した。


「ココ、人から影を貰えるからね、ミナミちゃんから貰ったの。だからミナミちゃんの嫌な気持ちは無くなったんじゃないかな」

「…へぇ。そんな事出来るんだ」

「うん。でもマシロとやらない約束してるから、もうやらないよ」


そう言ってシュンとしたココ。直哉と笑華は、そこで出て来たマシロという名前が耳に残る。


「……ココちゃんさ、昨日なんか…マシロ?呼んでたんだよね?……あ、いや、もちろんあたしは見えなかったんだけどさ」

「?、うん、呼んだよ。エミカちゃんの前にマシロも居たんだよ」


どうしたんだろう、と、ココは首を傾げた。そんなココに、笑華は「そ、そうなんだ!」と、胸の中にある動揺を抑えて、目の前に居た事実に驚いたように見せかける。マシロを見た事、これは秘密の約束だ。